語学学校ビルから47遺体 折り重なり発見記事を印刷する

大規模地震発生から3日が経過したニュージーランド南島クライストチャーチ市の警察当局は24日、死者102人、行方不明者は228人に上ると発表した。富山外国語専門学校の生徒らが被災した地元テレビ局の「CTVビル」の現場からは、同日までに47遺体が発見された。この中に日本人が含まれているかどうかは不明で、国籍や性別も明らかになっていない。日本の国際緊急援助隊も現地に到着し、必死の捜索活動を続けている。

 がれきの中から複数の遺体が見つかった。富山外国語専門学校の生徒らが被災した6階建てのCTVビルの崩壊現場からだった。警察当局は47遺体が発見されたと発表。この日に発見されたのは23遺体で、前日23日までに24遺体が見つかっていたことになる。目視による身元確認は困難で、性別も国籍も判明していない。当局は指紋、DNA、歯科治療記録などによる確認を急いでいる。

 日本の国際緊急援助隊の片田佳弘副団長は「重機を入れて、コンクリートをはいだところ、その下で遺体が折り重なるようにして見つかった」と記者団に語った。遺体の状況から逃げる間もなく建物が崩壊した可能性を指摘。日本人が含まれているかどうか、という質問に対しては明確な答えを避けた。警察当局者は「生存者がいる兆候がない」と沈痛な表情で明かした。

 当局によると、地震による死者は102人、不明者は228人に上るとしているが、死者数と重複して集計され実際の不明者数は、少なくなるとみられる。

 日本外務省によると、同ビルの崩壊に巻き込まれたとみられて安否不明なのは、ビル4階に入居している語学学校「キングズ?エデュケーション」で研修中だった富山外国語専門学校の生徒10人ら計26人。「キングズ-」がこの日発表した安否不明者リストには、計30人の日本人とみられる名前が列挙されていた。新たに浮上した4人の不明者のうち、鳥取県倉吉市立河北中2年の上野早紀さん(14)は体調不良でホームステイ先に滞在しており、滋賀大2年の井上瞳さん(20)も日本の家族と連絡が取れて、ともに無事が確認された。

 同名簿には韓国、インドネシア、タイ、サウジアラビアなどの留学生とみられる名前も書かれていた。しかし、同校関係者は「地震で事務所自体がなくなったため詳細な記録がなく、ニュージーランド教育省から提供された情報で作成した。ほかに情報があればいただきたい」と話した。

 

当局では同ビルでの不明者が、発見された遺体を含めて120人前後であることを明らかにした。70人前後の被災者が、まだがれきの下に閉じ込められていることになる。

 市内では断続的に余震が続き、2次被害の恐れもあるため、各国から派遣された救助隊は生存者のいる可能性の高い被災地を優先して慎重に捜索を続ける方針という。

 [2011年2月25日8時4分 紙面から